共通一次の科目1〜最初の6年(1979〜1984年)
科目数が多く設定されて複雑になっているセンター試験に比べ,共通一次はなんてシンプルだったんだろうと思います。
特に最初の6年の1979〜1984年。私が受験したのもこの時期。この時期の科目はWikipedia*1によると
国語(100分)
該当履修科目は現代国語、古典I甲の2つ。評論、随筆または解説文、小説、古文、漢文の全5問
数学(100分)
数学I、数学一般のいずれか1科目
社会(120分)
倫理・社会、政治・経済、日本史、世界史、地理A、地理Bのいずれか2科目、ただし地理科目2つの選択は不可
理科(120分)
物理I、化学I、生物I、地学Iのいずれか2科目、または基礎理科のみ1科目
外国語(100分)
英語B、ドイツ語、フランス語、英語Aのいずれか1科目
理科,社会で2科目選択する場合(受験生のほとんどはこの形)は,試験会場で科目を選択し,120分で2科目解きます。外国語はリスニングはなし。
2日間の日程で行われるのはセンター試験と同じですが,「国語」「数学」「社会」「理科」「外国語」の5つの試験だけなので時間割はシンプルで,実施時間も今よりずっと短かいものでした。1日目は午後からだったような気がします。
興味深いのは,どの科目も当時の教育課程(いわゆる「現代化カリキュラム」)*2の「必修」の内容のみであることです(社会のみ必修科目*3から2科目選ぶ形。他は必修の内容*4)。
センター試験の実施の目的は「大学入学志願者の高等学校段階における学習の達成の程度を判定すること」*5だそうで,おそらく共通一次も同様の目的だったと思いますが,まさに,すべての高校生に共通した基礎学力の程度を測るという形の科目設定になっています。また,以降の教育課程(「ゆとり教育」の方針が入る)に比べると「必修」の内容が厚いので,必修の内容のみでも内容が少なすぎるということはないという判断でしょう。
数学は数学Iのみ,理科は「I」科目のみというのは,数学や理科の素養を見るには不十分ですが*6,あくまで共通“一次”試験,つまり2次試験の存在が前提となっているので,不十分だと思えば大学ごとの2次試験の科目に加えればよいわけですし。“数学の力を測った”と言うためには文系であっても2次試験に数学を課すことになるのは,逆にいいことだったんじゃないかとも思います。