No Haste, No Chains ~数学の教育をつくろう~

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教育は投資〜「勉強しなきゃダメですか?」(Eテレ「オイコノミア」2013/10/29(前編),11/5(後編)放映分)1

10/29と11/5の「オイコノミア」は,「勉強しなきゃダメですか?」と題して,教育についての話でした。
指導役は一橋大学大学院の川口大司先生。

経済学では教育を「投資」と捉えていて,将来に見返りがある,見返りがあるから今はつらいけれど勉強するんだという行動が出てくると考えるそうです。
根本的な理由は学歴による賃金の差があること。

藤原和博先生(和田中学校校長)は「子どもたちに教育の意味を同伝えるか?」という問いには
・勉強するのは,ロールプレイングゲームで成功するために経験値を上げるのと一緒(小学生だとこれが一番わかりやすい)
・集中力とバランスが大切なんだけど,集中力を高めるのに一番役立つのは勉強。特にやりたいことがないなら勉強するのがいい
と答えるそうです。「本当に役立つか?」という問いに対しては(高校生ぐらいに対して)
・(時給800円のハンバーガー屋のアルバイトの仕事と時給80000円の仕事(弁護士やコンサルタントなど)を例に挙げて)
 どのくらい稀少かで収入が変わる(稀少→収入アップ)。稀少な存在になるために勉強しなければならない。
とのこと。

勉強というのは嫌なこと・つらいことで,それをするのは自分が他者より多くの収入を得ることが期待できるから。
経済学者が現在の状況を見て言うのはいいんだけれど,学校の先生が(先生という立場で公の場で)子どもたちにそういう見方しか示せないのは少し悲しい…。
特に最後のこと。なんですぐ時給換算での話しになるんだろう。「稀少な存在」になる意味は効率的に高い収入を得ることなんて教育の場で言って欲しくない。全員が稀少な存在になることはないんだから,これでは「稀少」になれない多くの人は勉強の意味は見出せないし,「稀少」になった人に妙な優越感を植えつけることになりそう。


川口先生は
・教育の効果は本人だけに返ってくるものではなく,社会全体に返ってくるもの。
 伸びしろのない子にも教育を与えることは社会的な費用を下げることにつながるし,能力が高い人が教育を受けた結果で得られた便益は本人だけでなく社会全体に及ぶこともある。
・能力がさほどなくても充実した教育を与えられる制度を作ることは社会全体の底上げにもつながる。
ということも言っていました。
教育は社会全体を考えての「投資」でもあるということ。このことを忘れないことが大事じゃないかと思います。