No Haste, No Chains ~数学の教育をつくろう~

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アンケートの項目〜クローズアップ現代「生徒がつける“先生の通信簿”」2

番組で取り上げられた大阪市での講義形式の授業アンケート項目はこんな内容。

■授業に対する生徒の取り組み
質問1 授業内容いついて,必要な予習や復習ができている
質問2 授業中は,集中して先生の話を聞き,学習に取り組んでいる

■授業の様子
質問3 (生徒理解)授業の進度や難易度は自分にとって適切である。
質問4 (授業計画)毎時間,授業の目標や大切なポイントを説明してくれる。
質問5 (教材活用)先生は教科書の他,役立つプリントなどをうまく使っている。
質問6 (授業展開)先生の声や話し方は聞き取りやすく,わかりやすい。
質問7 (授業分析)先生は生徒の意見や要望を取り入れ,授業改善に生かしている。

■授業に対する生徒の意識
質問8 授業内容に,興味・関心をもつことができた
質問9 授業を受けて,知識や技能が身についたと感じている。

最後の「■授業に対する生徒の意識」の2つの質問が全校・全教員共通の質問項目で,この2つの質問で授業力が測られるそうです。
物理と化学を教えている先生が「テストを簡単にしたらよい評価をつけてくれるかも」と言っていたのは,「質問9」を意識してのことでしょうね。“問題が解けた=知識や技能が身についた”と感じるだろうということですね。

質問項目を見るに,
  「これが大切だよ」と教えてくれて,
  プリントを出して,自分たち(生徒)の要望をきいてくれて,
  「わかった」「できた」という気にさせてくれる
先生がよい先生ということになりそうです。
  手取り足取りで面倒見のよい先生がよい先生で,
  すぐに効果が実感できるように先生が工夫するべきで,
  教科書だけでは不十分(または不親切),プリントを出さない先生は手抜き
という印象も与えそう。うーん…。こんなのでいいのかな?
それに「難易度が自分に適切か」と自分でちゃんとわかるの?

岩美中学でのアンケートも,授業についての項目は

授業は楽しいか
先生はよくわかるように教えてくれるか

なので,「よくわかる」と感じさせることが大切という考え方は一般的なのでしょう。
岩美中学でも,「よくわかる」100%を目指しているようです。ベテランの先生になると「よくわかる」が100%だとか。

一方,番組に出ていた大学の先生は
「何もかも「わかりやすい」でいいのか?
 難しいけど面白い,難しいけどためになるってこともあるのに。」
みたいなことを言っていました。

自分自身のこと(小学校から高校まで)を思い出してみると,先生が独自にプリントなどを用意するなんてこともほとんどなく,特別な工夫とかはない“普通の授業”だったんじゃないかと思います。

そういう授業でしたが,特に不満はありませんでした。もちろん不満が全くないというわけでなく,全体的にという意味ですが。じゃあ「大変満足」かというとそれもわからない。だって,他を知らなかったし。それに楽しいと感じるときもそうでもないときもあったけど,それが授業の仕方のせいなのか自分自身のせいなのかわからないし。ちゃんと授業してくれて,それをちゃんと受けることができるということで特に不満なし。

「難易度の適切さ」っていっても勉強する内容(=教科書の内容)は,“○年生が学ぶべき・習得できるはずの内容”なわけだから,きっと「適切」なはず。難しくても頑張らなくちゃいけないんだろうなとか思っていました(ちゃんと頑張ったかどうか怪しい科目も多かったですが)。「簡単すぎてつまらない」とかは感じた記憶もないし。

高校1年のとき,生物の先生が
 「“わからない”という生徒が出るのは仕方ない。どんな教え方でも全員がよくわかるなんてことは,まずない。
  でも,クラスの半分(?)以上がわからなかったらそれは教えるほうに責任がある」
みたいなことを言ってたことも思い出しました。


“「よい授業」像”を押し付けるようなアンケートはあまりよくないように思います。難易度が「適切か」を個々の生徒に評価させるのも難しい,というかこれも問題があるように思います。アンケートの項目は
  ・落ち着いて授業は受けられるか(受けれらないならその理由も)
  ・授業を受けていて不安はないか(あるならその理由も)
と自由コメント(感じること。よい面も含めて)くらいがいいんじゃないかな。