No Haste, No Chains ~数学の教育をつくろう~

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3分の1が0.1?〜無限小数のこと3

「3分の1が0.1?  \frac 13=0.3333\cdots なんだから,0.1なわけないじゃん!」
という声が聞こえそうですが…。

正確には
   \frac13=0.1_{(3)}  (もっと正確に \frac13_{(10)}=0.1_{(3)}

つまり,「(10進法の分数)\frac13を3進法の小数で表すと0.1」ということです。
新課程の数学A(H24年度以降入学の高校生が履修)の教科書*1の「整数の性質」という単元の中に載っていました。

「10進法」は私たちが日常使っている,位取りの基礎を10とする方法のことで,「3進法」は位取りの基礎を3にする方法です。詳しくはここ*2などでどうぞ。
「整数の性質」というのは新課程で新たに入った単元なのですが,「n進法」も教科書の載ってるんですね。私が中学のときの教科書には少しだけ載っていたのですが(小数のことまではないですが。授業でやったかは不明),それ以来だと思います。

10進法の小数0.a_1a_2a_3\cdotsの意味は  0.a_1a_2a_3\cdots=a_1\cdot \frac1{10^1}+a_2\cdot \frac1{10^2}+a_3\cdot \frac1{10^3}+\cdots

3進法の小数0.a_1a_2a_3\cdots\,_{(3)}の意味は  0.a_1a_2a_3\,_{(3)}\cdots=a_1\cdot \frac1{3^1}+a_2\cdot \frac1{3^2}+a_3\cdot \frac1{3^3}+\cdots

なので,10進法だと
   \frac13=3\cdot \frac1{10^1}+3\cdot \frac1{10^2}+3\cdot \frac1{10^3}+\cdots=0.333\cdots
なのが,3進法だと
   \frac13=1\cdot\frac13=0.1_{(3)}

というわけです。無限小数という“なんか怪しげなヤツ”だと思った3分の1も,見方を変えればスッキリとした親しみやすい人だったんだ,という感じ。面白いですね。

ちなみに,みんなに親しまれている2分の1は,3進法の世界では
   \frac12=1\cdot \frac1{3^1}+1\cdot \frac1{3^2}+1\cdot \frac1{3^3}+\cdots=0.111\cdots\,_{(3)}
実はちょっと怪しげなヤツだったりします。

*1:数研「数学A」平成23年3月16日検定済み

*2:wikipedia「位取り記数法」