No Haste, No Chains ~数学の教育をつくろう~

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クラス人数は少ないほうがいい?〜クラスの人数3

“世界的にみて日本のクラス人数は多すぎる。クラス人数は20人程度が望ましい。”
“学力を上げるにはクラス人数を少なくしなければ!”
という意見をよく耳にします。
(予算さえ許せば)20人とか25人にしたほうがいいという感じなのですが,本当にそんなに単純なことなのか,ちょっと疑問です。

確かに少ない人数のほうが学習効果が上がる内容も多いと思いますが,クラスの人と一緒にするのはそれだけではありません。
学校生活を円滑・快適に進めるための役割を分担したり,行事などで協力して大きなことをしたり,特に親しくはないけどなんとなく目に入る存在だったり…。学校のクラスって人工的なコミュニティ(共同体)だと思うんですよね。35人学級(1クラス30人前後)と20人学級(1クラス10数人)ではその意味は違ったものになるような…。

また,人数が少なくなれば,子供一人ひとりに目が届きやすくなるとか,先生の負担が減るとかもいわれていますが,人数が“少なくなった”ということで,少なくなって可能になった以上の個別の対応や配慮を期待する人も多くなって負担はかえって大きくなりそうです。20人になろうがそれ以下になろうが,子供一人ひとりのすべてに目が届くなんてありえないと思うんですけどね。

いや,でも人数を少なくしないと学力が…という人もいるでしょうが,クラス人数は現在の30人〜40人くらいのまま,学習内容によってクラスを2つに分けて少人数学習にするという方法もあります。「2つに分ける」分け方をその時々で変えることもできますから,より効果的にすることもできそうです。そういえば,子どもたちの学校でも,ときどき算数や英語で少人数学習の時間があったみたいです。

また,クラス全体を1人で授業するのが効果的でない状況でも,2つに分けて先生が各1人より,クラスはそのままで先生2人(授業をする先生と補助に回る先生)のほうがうまくいくというようなこともあるでしょう。

小学校だとクラス担任を2人(または,正と副)にするのもよさそうです。
「2つに分けて授業」や「2人で授業」が簡単にできるほか,雑務の分担や1人でする授業の受け持ちを分担できて空き時間が増えて時間の余裕ができますし,1人で見えないことも2人だと見えるということもありますし。


  人数が少ないほうが学力が伸びる→クラス人数を減らさなければ
のような,単純な図式にとらわれるのでなく,慎重に,かつ柔軟に考えていくことが大切だと思います。