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「出世払い」奨学金導入

「出世払い」の奨学金が始まるそうです。

文部科学省は、卒業後に一定の年収水準に達しなかった人について、学生時代に借りた奨学金の返済を期限を定めずに猶予する制度の導入を決めた。貸与制を原則としつつ、返済は「出世払い」とすることで、高まる雇用不安に対応する。来年度から施行する方針。

 対象は、日本学生支援機構(旧日本育英会)が貸与する無利子の奨学金を来年度から借りる大学・短大・高専などの学生で、大学院生は除く。貸与時に保護者の世帯年収が300万円以下の人に限る。返済を猶予する本人の年収水準は「300万円以下」とする。

 卒業後、年間所得を証明する書類とともに猶予申請を受け付ける。年収が水準を超えたら返済を始めてもらう。

   (文科省、「出世払い」奨学金導入へ 来年度から*1 asahi.com 2011年12月20日

これっていい方法なんだろうか。
・本人の年収がずっと300万以下だったら返さなくていいの?
・年収300万って,統計とかで見ると「そろそろ結婚できるな」って思うころみたいだけど,そんなときに新たな出費が始まると「やっぱり結婚やめとこう」となって少子化を加速させることにならない?
  …etc.


猶予期間を無期限に延ばすより,1回あたりの返済金額を小さくして返済期間を延ばすほうがいんじゃないかと思う。
返済しない期間がずっと続くと「返済しないのが当たり前」という気持ちになってしまいそう(返すって約束して借りたはずだから,それはおかしい)。収入が増えたとき,「返済が始まる」より「1回あたりの返済額がちょっと増える」のほうが無理なく気持ちよく返済額を増やせそうだしね。
それか,あっさり給付型の奨学金を作るか。


新聞によると,大学などの在学生の3人に1人が日本学生支援機構奨学金を借りているそうです。同機構のホームページの平成20年度学生生活調査結果*2を見るともっと高くなっていますが(40%ぐらい),これは同機構以外の奨学金を借りている人も含まれているのでしょう(アンケートの回収率が50%ほどしかないせいかもしれません)。
このページによると,受給額の平均は年33万6000円ほど(18年度は30万)。
国立大学の授業料が,私のころと比べると30万くらい上がっているのですが,その額と同じくらいです。


奨学金をもらう学生が増えている」というと,自分の学費を自分で返す親孝行な子供が増えているというような印象を受けることもあると思いますが,単に,親が負担しきれなくなった学費の値上がり分を子供が負担するようになっただけともいえると思います。