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教科書の復刻

昭和の数学力めざせ 「ゆとり以前」教科書を復刻、教師に人気*1

「ゆとり以前」の中学数学の教科書が復刻されてるとのこと。主に若い先生の研究用だとか。

見たことある表紙だ,と思ったら

啓林館(大阪市)の「新訂数学」で53年から55年に使用された。

私が使った教科書だ。

「集合の概念」をはじめ、「不等式」「二次方程式の解の公式」など現在は高校で教える内容を収録しているのが大きな特徴。

これは,単に教育課程がそうだったからなのだけど。

昭和の高い数学力を支えた教科書のひとつ

数学者の岡本和夫・東大名誉教授は「『新訂数学』は数学教育を構築した教科書といってもいい」と評価する。

単元ごとの導入部分が分かりやすく説明されるなど、日本が高い数学力を誇った原点ともいえる良質の教科書。

そんなに素晴らしい教科書だったとは!
当時は別にいいとも悪いとも思わなかったけど(特に困ることもなかったし,比べるものもなかったし)。


10年くらい前,改めて見てみたときは
  未来の科学技術の発展を担う子どもに,現代数学の基礎を伝えたい!
という意気込みにあふれてるなぁと感じた。
その意気込みを支える“時代の精神”が世間一般にもあって,そこが今と大きく違うところなんじゃないかと思う。
どの単元が入ってるとかよりも大きな違い。
復刻教科書の昭和53年から55年のころには,そんな時代は過ぎつつあったような気もするけど。


(補足)
教育課程の変更を前にして,移行措置が行われた時代でもあるので,当時(昭和53〜55年)の中学生がこの教科書の全部の内容を学習したわけではないです。
もう少し前なら,全部やったのかもしれないけど。