No Haste, No Chains ~数学の教育をつくろう~

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初めてのベクトル〜力の合成・分解

 高校数学の新課程用の教科書(I,A,II)を買うついでに,中学の数学,小学校の算数(の「上」),そして中学校の理科の教科書も買ってみました。旧課程のとき「これで大丈夫?」と思ったのは数学よりむしろ理科だったので,どう変わったか見てみたかったのです。教科書は“学校で使われている間なら”簡単に買えます。1冊300〜750円くらいです。安い!

 中学の理科は,これまでの1分野(上,下),2分野(上,下)の計4冊から,学年ごとの計3冊になりました。
内容が増えるとは聞いていましたが,実際に手にとると子ども(特に上の子)が使ったのとは比べ物にならないくらい厚くてずっしりと重く,“ゆとり教育世代”の親としてはちょっと複雑な気持ちになりました…。

 子どもの教科書でこれはちょっと…と思った箇所の1つが,斜面においた台車にかかる力についての図(左が上の子,右が下の子のものです*1
   
これだと,斜面に平行な力は「なんか知らんけど出てくる力。斜面にそってはたらく謎の力」でしかなく,その力が傾きが大きくなると大きくなることも「そういうもの。実際そうだし。」とするしかありません(授業(「選択教科」かも)では少し説明があったようですが)。下の子のほう(右)では重力との関係がほのめかされてはいますが…。

同様の箇所を新しい教科書*2で見てみると…
   
私のとき*3と同じように,ちゃんと重力を斜面方向と垂直方向に分解する形になってる。よかった。
これより前に,力の合成や分解についてや合力や分力の求め方(作図の仕方)についても詳しく説明してあります。私のときより詳しいです。

 「ベクトル」という言葉は出てきませんが,力はベクトルであり,力の合成・分解はベクトルの足し算・和への分解そのものです。
「ベクトル」が初めて出てくるのは数学では高校の「数学B」ですが,中学の段階で触れた経験は,数学でベクトルを学習するときの下地になるんじゃないかと思います。別にきちんと覚えてなくても「なんか,これと同じようなこと前にもやったような気がする」ってだけでも違うと思うんですよね。

*1:左:啓林館「理科1分野下」平成17年度用,右:啓林館「未来へ広がるサイエンス1分野下」平成19年度用

*2:啓林館「未来へ広がるサイエンス3」平成24年度用

*3:啓林館「新訂理科1上」昭和53年度用