No Haste, No Chains ~数学の教育をつくろう~

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かけ算の順序

掛け算の順序(6×8か8×6ということ)について,最近また話題になっているそうです。

6×8は正解でも8×6はバッテン?あるいは算数のガラパゴス性*1がきっかけらしいので,見てみると,1週間ほどでものすごい数のコメントがついていました。
採点基準の妥当性などはおいといて,教科書では掛け算の順序交換はどのような形で出てくるのか,私のときと子どもたちのを調べてみました。


「かけ算」が初めて出てくるのはどちらも「2年下」の最初です。
掛け算の導入の仕方はかなり違いがあるのですが,その後九九の学習に入り,(私のほうは途中で他の内容の学習をはさみますが)教科書の半分より少し前で九九の学習が一通り終わるのは同じ。その後,九九の表が出てきて,その表を見ながら考えます。内容も同じようなものが並んでいるのですが,子どもの方(学校図書 平成11年7月1日発行)には

かけられる数が 5の 答えと,かける数が 5の 答えを,くらべて みましょう。
(中略)
◆ かけ算では,かける数と かけられる数を 入れかえて かけても,答えは おなじです。

があります。
掛け算の交換法則についての記述ですね。
掛け算の式の書き方や意味の「約束」を(世界共通ではないにしても)決めたわけですが,教科書のほんのちょっと先に「書く順番を変えても答えは同じ」と書いてあるんですね。


一方,私のほう(啓林館 昭和48年5月10日発行)は出てこず,交換法則が出てくるのは「3年上」。

おはじきは みんなで いくつあるでしょう。
(たて5個横8個ならんだおはじきを2人が別の方向から数えているような絵があって)
   8×5=5×8
このしきで,=は その左と右が等しいことをあらわすしるしで,等号といいます。

   かけ算では,かけられる数と かける数とを とりかえても,答えは同じです。

となっています(最後の1行は枠で囲まれています)。
2年生のあいだは交換法則には触れません。
掛け算の順序には,単位のことも絡んできますが,「2年下」には,「4cm×8」など,かけられる数に単位がついている問題が出てくるのも興味深いです(子どもたちのほうにはありませんでした)。


交換法則が教科書に出てくるまでの時間にこれだけ違いがあるのは驚きでした。
新課程の教科書は見ていませんが,学習指導要領によると積の交換法則は2年生の内容になっているみたいなので,子どもたちのものに近いのではないかと思います。