月々3万円台から購入可能!〜住宅ローンの計算
ポストに新築マンションのチラシにが入っていました。
「月々3万円台から購入可能!」だそうで,マンションを買う予定はないのだけれど,詳しくチラシを見てみました。
2LDK,1420万円のマンションが頭金0円,ボーナス払いなし,月々39,262円 (確かに“3万円台”だ…)で買えるそうです。
小さく,「借入金1420万円,35年返済,変動金利0.875%の場合」とあります。
住宅ローンの金利って,今はこんなに低いんですね。
どうやって計算したんだろう?
変動金利だけど,ずっと同じ金利で計算したんだろうな(そうするしかないだろうけど)。
金利が変わったら,毎月のお金はどうなるんだろう?
…ということで,毎月の返済額を求める計算式を求めてみることにしました。
計算精度や端数の処理に問題があるかもしれませんが,目安にはなるはず。
A円を月利r(=100r %)で借りる。毎月一定額支払って,ちょうどN回で完済するには,毎月の一定額をいくらにすればよいか。
ということ。
※「月利」は,年利÷12 (例)年利1.2%→月利0.1%(r=0.001),「支払い回数」は,返済年数×12 (例)35年返済→420回払い(N=420)
金利は固定とし,毎月の返済額が一定なので「元利金等返済」と考えます。元利金等返済というのは
返済した金額から先に利子がひかれ,残りが元金の返済にあてられる*1
なので,求める毎月の支払い額をx円,n回目の支払い後に借入金の元金が円になったとしてこれを式に表してみると
1回目の支払いのときは,借入金(=A)の1ヶ月分の利子(=Ar)がひかれて,残りのx-Ar円が元金の返済にあてられる(つまり,その分だけ借入金の元金が減る)から,1回目の支払いの後の元金は
2回目の支払いのときは,借入金の残り円の1ヶ月分の利子(円)がひかれるので,2回目の支払いの後の元金は
同じように考えて
n回目の支払いのときは,元金の返済にあてられるのは(円)だから
ということ(高校範囲の漸化式だ!)。2≦n≦Nですが,とするとn=1でも成り立ちます。
この漸化式を解いて
N回で完済するということはa_N=0だから,n=Nとしてxを求めると
年利0.875%で1420万円借りて,35年で返済する場合(r=0.0875÷1200,A=1420万,N=420)のxを計算してみると,x=39262.67…。*2
チラシと同じ39,262円(小数点以下切捨て)になりました。
0.875%は変動金利なのですが,35年間ずっと年0.875%だとして計算しているんですね。
0.875%という超低金利が35年間ずっと続くとは思えないので,最初の5年間は0.875%で,それ以降は約1%アップの1.8%(これでも超低金利ですが)になったとすると,返済期間を同じにするには残りの30年間の毎月の支払額はどうすればいいでしょう?
r=0.0875÷1200,A=1420万,x=39,262のとき,なので,r=1.8÷1200,A=12,429,689,N=30×12=360のときのxを求めてみると
x=44702.21…≒44702(円)
当然ですが,支払額は増えますね(この場合は毎月5440円の負担増)。
ご利用は計画的に。
(おまけ)
ちなみに,バブルのころ('91前半)は住宅金融公庫の金利が過去最高の5.5%だったそうで,同じ金額を同じ期間で返すとすると,毎月の返済額は76,256円(!)になります。
これだけ金利が高い場合は,頭金やボーナス払いアリで借り入れ金額をおさえるたり年数を短くするのがよさそうです。