No Haste, No Chains ~数学の教育をつくろう~

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2次方程式の解の公式

   x2次方程式 ax^2+bx+c=0 (\;a\neq0) の解は
      x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
 
これが2次方程式の解の公式。
現行課程では高校範囲(また中学に戻るみたいだけど)。
高1の子供の春休み(入学前)の課題の中では「発展」*1の形で出てきていた。
私のころは中3で習った。
それについて思い出すことなど。
 
2次方程式の解の公式が出てきたのは,平方完成による2次方程式の解法をさんざんやった後。
平方完成による解法は面倒だった。
    x^2+6x+7=0
みたいな,計算しやすいタイプ(x^2の係数が1,xの係数が偶数)の問題ばかりではなくて
    5x^2+7x+1=0
のように,まず両辺を5で割って・・・というものもやったような気がする*2
処理の段階も多いし,分数は出てくるし…。
 
そんな面倒な計算の後の公式である。
中学で習う公式はいくつかあるけれど,2次方程式の解の公式はその中でもずば抜けて複雑。
これをいきなり見せられて「覚えなさい」となると,「え〜(>_<)」となったかもしれないけれど,
公式の複雑さより,「これで面倒な計算から解放される」という気持ちのほうが強かった。
  
先生は,黒板で公式を導いてみせた後,ax^2+bx+c=0の解の公式を自分でも導いてみるように言った。
 
面倒な平方完成,しかも分数を含む文字式の計算である。
当然,時間のかかる子はかかる。でも,早くできる子はできる。
早くできた子に対して先生の出した課題
   出来た人は px^2+qx+r=0 でやってみて
それも出来たら,こんどは
   sx^2+tx+u=0 でやってみて
私は「早くできた子」だったので,そうして,何度も解の公式を導くことになった。
 
公式を導く処理は,散々やってきた平方完成による解法そのものである。
違うのは,数字が文字に変わったことだけ。
この経験によって「公式は導くもの」としてインプットされたような気がする。
 
 
そういえば,x2次方程式ax^2+2b'x+c=0の解の公式

      x=\frac{-b'\pm\sqrt{{b'}^2-ac}}{a}

はやっていない。「発展」ということでやらせてもよさそうなのに。
解の公式を学習したばかりの生徒が,2通りの解の公式で混乱してしまうのを危惧したのか,単純に中学での範囲を超えているから教えるべきでない(教えられない)のか。
 
もうひとつ,
解の公式を用いて2次方程式を解く場合,\sqrt{{b}^2-4ac} を計算することになる。
正であることを確認してからルートをとる平方完成の方法と違って,いきなりルートの中に数字を入れるわけだ。ルートの中味がマイナスになったらどうしよう,っとチラッと思ったところで,それを見透かしたように先生は
  「ルートの中味がマイナスになるような問題は出さないから,安心して代入していいよ」
といった。ホッとした。虚数なんて知らないころの話。

*1:課題の中には高校範囲の内容がヒントつきで少し含まれている。

*2:教科書を見てみたら,当時も平方完成の項の練習問題はx^2の係数が1のもののみ。xの係数に奇数のものはあるけど。記憶違いかなぁ。それとも,先生が教科書とは別にやらせた問題なのか…